むくみの方が来られたときにインストラクターの皆さんはどのような対応をされますか?
とりあえず、リンパマッサージしましょう!といった感じになっていないでしょうか?
みなさんは「むくみ」について本当に理解できていますか?
今回はそんな「むくみ」が何故おこるのか?とセルフケアの仕方について書いていきたいと思います。
「むくみ」ってどういう状態なの?
むくみとは皮膚の下に余分な水分が溜まっている状態です。
では余分な水分とはなんなのでしょうか?
リンパ液と思われている方もいるかもしれないですが、
これは「間質液(かんしつえき)」と呼ばれる細胞と細胞の間に流れる液体です。
リンパ液というのはこの「間質液」がリンパ菅に入った時に「リンパ液」と呼ばれます。
この間質液が異常に増えて、身体の外から膨張してして見える状態をむくみ「浮腫(ふしゅ)」と言います。
間質液はどうやって作られるの?
間質液の原料は「血液」
心臓から送り出された血液が『動脈(どうみゃく)』を通って体のすみずみまで栄養を運んでいます。 ですが、実は直接血管から細胞に栄養が送られているわけではないんです。
血管にはとても小さな穴が空いていて、
血管から水分(間質液)を染み出させることで細胞に栄養を渡します。
このように間質液は生み出されていきます。
通常は染み出した間質液は静脈(じょうみゃく)やリンパ管で吸収されまた心臓まで戻すのですが、
染み出す量が大きいか血管に吸収される量が少なくなることで、
染み出した水分が皮膚の下に残ってしまいむくみとなってあらわれます。
むくみの原因は何があるの?
むくみの原因は大きく2つ
『血管から染み出す量が多い』か『吸収される量が少ない』かです。
ではそれぞれの原因から特にインストラクターの方が出くわしやすいものについて見ていきましょう!
血液から染み出す量が多い原因
1. タンパク質不足
ダイエット中の方におこるむくみはこのタンパク質不足が原因のことが多いです。
タンパク質は水分を引っ張っておく力があります。
ダイエットなどのカロリー制限によって体のタンパク質が少なくなると血管の中に水分を維持できなくなってしまい(染み出す量が多い)、むくみとなります。
その他にも、腎臓や肝臓が原因で血液のタンパク質が少なくなることもあるので、良くならない場合は注意が必要です。
2. 塩分の取り過ぎ
人は体の濃度を一定に保つように自然に働いています。
塩分の取り過ぎによって体の濃度が高くなれば、濃度を薄めようと体が働くので喉が渇き水分をよく取るようになります。
結果的に水分で薄めようとからだに水が溜まっていき、むくみとなってあらわれます。
吸収される量が少ない原因
1. 足の筋力低下
人は立っている状態や椅子に座っている状態だと、重力による影響で血液は体の下に溜まりやすくなってしまいます。
ふくらはぎの筋肉は伸びたり縮んだりという収縮を繰り返すことでポンプの役割を果たし、下肢にたまった血液を循環させ、心臓へと戻す役割を担っています。
これを『筋ポンプ作用』と呼び、この作用からふくらはぎは『第二の心臓』とも呼ばれています。
そのため、足の筋力が弱くなると、心臓に返すための静脈血が帰らず足に血液が溜まってしまい、結果として足のむくみとなってあらわれます。
2. 静脈弁の機能低下
足の血管から心臓に血液を返すための仕組みは「筋肉のポンプ作用」の他にいくつかあります。
そのひとつが『静脈弁(じょうみゃくべん)』です。
重力によって下に血液が下に流れない(逆流しない)ように、静脈の内側にはストッパーの役割をする「弁」があります。
図のように血液が心臓の方に上に押し出される時には弁が開き、それ以外のときは下に流れないように弁が閉じるこで、血液が逆流することを防ぎます。
ただこの弁の機能が弱くなって、弁が閉じず逆流すると、足元に血液が溜まった状態になってしまいむくみがおこりやすくなります。
またこの静脈弁の機能が悪くなると『静脈瘤(じょうみゃくりゅう)』がおこります。
上の図にあるように足の血管が蛇行して浮き出た状態を静脈瘤と呼びます。
このような状態がみられたら、静脈の弁の機能が悪くなっている可能性がありますので、注意してみてみましょう!
3. リンパの流れが悪い
下の図のようにリンパ管は全身のすみずみまで張り巡らされており、血管から染み出した間質液がリンパ管に入ることリンパ液となります。
リンパ管を巡って最終的には静脈に流れ込むという循環を繰り返しながら、全身の細胞の働きの維持や、老廃物の回収、異物の除去などを行っています。
長時間座ったままだったり、靴下による皮膚の圧迫、疲れやストレスなど、様々な原因で皮膚の伸び縮みが少なくなり、毛細リンパ管の流れが悪くなります。
その結果、間質液が吸収されず皮膚のすぐ下に停滞し、むくみとなります。
また、熱も伝わりにくくなるので、冷えが深刻になります。
セルフケア指導
これまでむくみの原因についてご紹介しましたが、この他にも心臓や腎臓が原因でおこることもあるので、
セルフケアをしてもあまり症状が改善しないような場合は一度、病院に受診することを進めましょう!
まず、セルフケアとして大事なのは生活習慣の見直しです!
塩分や糖分の多い食事をしていないか、無理なダイエットをしていないか確認しておきましょう!
原因が分かればその原因に対応した栄養素の摂取を心がけましょう!
1. むくみを改善させる食べ物
・・タンパク質
血液中のタンパク質であるアルブミンは血管の中と外の水分量の調節に関わっていると考えられています。
減量のために、メインのおかずの量を減らしすぎたり、食事を抜いたりしているとタンパク質不足が影響してむくみになる可能性があります。
血液中の水分バランスのためにもタンパク質はしっかりと補いましょう。
多く含まれるもの・・・・
・生ハム ・肉類 ・大豆 ・たまご ・たらこ など
ビタミンB群
ビタミンB群は糖質、脂質、アルコール、水分の代謝を助ける作用があるので体内バランスを整えるのに適していると考えられます。
また、生理前など女性ホルモンのバランスが崩れやすい時にむくみが出やすい場合は、女性ホルモンへの作用をサポートするビタミンB6の補給を心がけてみましょう。
多く含まれるもの・・・
・豚肉 ・にんにく ・レバー ・鶏ささみ
カリウム
体内の水分バランスはナトリウム(食塩)とカリウムによって調節されています。
塩分の多い料理を食べすぎた時や、夜遅くに食事を摂る場合は特に「カリウム」を意識して摂ることをオススメします。
多く含まれるもの・・・
・パセリ ・アボカド ・納豆 ・バナナ
2. トレーニング
今回はがっつりトレーニングでは無く、身近にできるセルフトレーニングをご紹介します!
そして、今回ご紹介するのは『ジグリング』!!
ジグリングとは『貧乏ゆすり』のことで股関節のリハビリにも使われているんです!
一見行儀の悪い行為にみえますが、むくみに対しても効果的です!
細かくふくらはぎを運動させて、筋肉を使うことで足の血液の循環が良くなります。
また、循環が良くなることで冷え症にも効果的と言われており、
たった5分間のジグリングで体温が平均2℃上がったという結果も報告されています!
周りの目が気になる方は寝る前に5分間、貧乏ゆすりしてみてください!
3. むくみに効果的なツボ!
今回は片頭痛のときに東洋医学でよく用いられる「足三里」「承山」「豊隆」「湧泉」を紹介します!
ツボを押すときの目安は1箇所10秒
ツボは押しすぎてしまうとカラダがしんどくなることもあるので10秒程度で大丈夫です!ツボを押すときは手や足のツボは狭い場所にあるので、指1本で押します。 指の腹をツボに当て、皮膚を小さく軽く回すように押し回してみましょう。
足三里(あしさんり)
ひざのお皿のすぐ下にある外側のくぼみから人さし指をおき、足先に向かって指幅4本そろえて小指があたっているところが「足三里」です。
むくみ以外にも便秘などの胃腸の症状にも用いるツボです。
承山(しょうざん)
ふくらはぎの中心線上に指を置いて、下から上にたどっていくと、腱と筋肉の変わり目のところの盛り上がりにぶつかって止まります。その盛り上がりの手前に「承山」があります。
むくみ以外にも、腰痛やこむら返りなど運動器系の症状の時にも使います。
豊隆(ほうりゅう)
すねの骨の外側のひざと足首の中間あたりで、外側の筋肉が一番盛り上がっているところに「豊隆」があります。
からだに溜まった水分を排出してくれるため、むくみや便秘によく用います。
湧泉(ゆうせん)
土ふまずのやや上、足の指を曲げたときに、ちょうどくぼむところが「湧泉」です。
水分代謝を良くしてくれるのでむくみにも効果的ですが、ツボ名前の通り、気力や生命力が泉のように湧くツボです。
まとめ
今回はむくみ基礎知識とセルフケアをお伝えさせていただきましたが、
今回の内容のようにむくみの原因はリンパが滞っているだけではないことを知っていただけたら嬉しく思います。
さらに、食事の内容や栄養の偏りなどもお話できて、栄養面からも考え適切なアドバイスできればワンランク上の指導ができると思います。
何度もお伝えしておりますが、症状が良くならない場合は自分でなんとかしようとせず、病院などの医療機関に受診することを進めるのことも大事な指導ですので、忘れないようにしてください!