肩が痛くて挙げられないんです!
と言われるとまずはじめに考えつくのは「四十肩・五十肩」だと思います。
実は、肩が痛くて挙がらない原因は五十肩だけではないんです!
見逃してしまうと恐ろしい「腱板断裂(けんばんだんれつ)・腱板損傷(けんばんそんしょう)」という病気があります。
今回はそんな『腱板断裂(損傷)』についてお話ししていきたいと思います。
腱板断裂ってそんなに多い病気なの?
はっきりと細かい数字は言えないのですが、50歳を越えて肩の痛みがある場合、5人に1
人は腱板が損傷している可能性があると言われています!
腱版断裂がおこりやすい年齢は60代とされていますが、比較的多い病気ですので、肩の痛みがある場合には、まず頭に入れておくべき病気です。
肩の痛みの代表的な病気に『五十肩』がありますが、
自分で五十肩だなと診断されて病院にいっていないような場合、実はこの『腱板損傷』だったということがよくあります。
切れてしまった腱板を無理やり動かし続けた場合、症状が悪化してしまう可能性がありますので、インストラクターの先生はこの病気について十分理解しておく必要があり、可能性がある場合には病院でしっかりと見てもらうように指示する必要があります。
腱板断裂ってどんな病気なの?
腱板(けんばん)とは
腱板とは肩甲骨(けんこうこつ)から上腕骨(じょうわんこつ)についている筋肉が集まった腱(けん)のことで、
この筋肉には肩甲下筋(けんこうかきん)・棘上筋(きょくじょうきん)・棘下筋(きょっかきん)・小円筋(しょうえんきん)の4つの筋肉があります。
通常、腱板は腕を上げたり下げたりするときに、上腕骨の頭の部分が肩甲骨の器状になっている部分とずれないように保っています。
どういうことかというと
図のように腱腱で腕の骨を引き寄せて肩が安定するように働きます。
腱板損傷・断裂とは
腱板断裂とは、この腱板が損傷または断裂してしまった状態です。
先ほどの図をみてもわかるように腱板は骨と骨の間を通っているので、腱板と骨が接しやすい状態になっています。
ただ、関節には滑液という滑りやすくする液体があり、骨が接しても傷つきにくい様になっているのですが、年齢を重ねることによって滑液が少なくなったり、肩を使いすぎた場合に、骨と腱板がこすれ合ってしまって腱が傷ついたり(損傷)、切れてしまうことで(断裂)、肩を挙げた時に痛みがおこります。
一度、切れてしまった腱は元に戻すことはほぼできません。
なので、手遅れになってしまわないようにしっかりと状態を判断してアプローチしてあげることが大切です。
五十肩との違いはどう見分けるの?
五十肩は肩の動きが悪くなっておこる病気で、実は、はっきりとした原因はわかっていません。
五十肩は「肩関節周囲炎(かたかんせつしゅういえん)」とも言われ、肩の関節の周囲の組織が硬くなって炎症をおこしてしまっている状態です。
腱板断裂と同じ様に肩の痛みや肩が挙がらないという症状がおこりますが、
・五十肩は組織が硬くなることで起こる炎症によって痛みがおこります。
・腱板断裂は腱板が傷つくことによって痛みがおこります。
特に「五十肩」と「腱板断裂」では痛み方に違いが見られます。
五十肩では
・肩を挙げた時にが痛みがおこるのは、肩が挙がなくなる最後のポイント
・自分で挙げても、他の人に挙げてもらっても痛い
腱板断裂では
・肩を挙げた時にが痛みがおこるのは、肩をあげる途中から痛い
・自分で挙げると痛み、他の人に挙げてもらう時は痛くない
肩が痛くて、挙げれないという人が来たら、まずこのポイントを見ておく様にしてください!
腱板断裂の人には何をしてあげたらいいの?
筋肉は断裂・損傷してしまってもほとんどの場合は自然にくっつきますが、
腱の場合は骨と腱になってしますので、自然にくっつくことはほぼありません。
ではインストラクターの先生はレッスンをしていいのか?
正直、この問題はとても難しい部分です。
なぜかというこのまま肩を使い続けてしまうとさらに損傷がひどくなってしまう可能性があるからです。反対に肩を全く使わないとなると筋肉が弱くなり他の病気が新たに出てくる可能性があります。
ただ、なにも出来ないのかというとそうではありません!
最初の方にお伝えしたように腱板には4つの筋肉が関わっているとお伝えしました。
腱板に関わっているすべての筋肉が断裂するということは、とても稀です。
なので、傷ついた筋肉をカバーできるように他の筋肉を鍛えてあげましょう!
今回は私が良く臨床で使う肩のインナーマッスルを鍛えるチューブトレーニングを紹介したいと思います!
・肩の内旋と外旋運動
① 痛い方の腕でチューブを持ち、肘を90度に曲げた状態にします。
② チューブは内旋運動の時は身体の外側から、外旋運動は身体の内側から引っ張ります。
*チューブの反対側は何かに固定する必要があるので、ドアノブなんかがオススメです!
③ 腕は身体から離れないようにしておいてください。
*難しい場合は反対の手で押さえても大丈夫です!
① 肘を曲げた状態をキープしたまま、内旋させてください。
*この時も腕が離れないように気をつけましょう!
② 内旋運動させるときはゆっくり5秒間かけておこなってください。元に戻す時も同様に5秒間かけてゆっくり戻しましょう!
外旋も同様です。
① 肘を曲げた状態をキープしたまま、外旋させてください。
*この時も腕が離れないように気をつけましょう!
② 外旋運動させるときはゆっくり5秒間かけておこなってください。元に戻す時も同様に5秒間かけてゆっくり戻しましょう!
・肩の外転運動
① 親指は常に上を向く様にチューブを持ちましょう!
② 肘は曲がらないようにまっすぐ
③ 外転運動させるときはゆっくり5秒間かけておこなってください。元に戻す時も同様に5秒間かけてゆっくり戻しましょう!
④ 外転させるのは45度までで大丈夫です
*身体が傾きやすいのでまっすぐ立つように意識してください。
チューブトレーニングは各運動10回を3セットを目安におこなってもらってますが、肩がだるくなるぐらいまでやっていただけたらと思います。
まとめ
今回、『腱板断裂・損傷』についてお伝えさせていただきましたが、
肩が痛くて挙がらないと言われる方がおられた場合は、
柔軟性が悪いから動かしていきましょう!と簡単に判断しないように気をつけてください。
もしかしたら、運動することで悪くなる病気が隠れている場合があるので、無理に判断せずにまずは専門の先生に相談するようにしてみてください。
しっかりと病気のことを理解して説明してあげれば、今後のレッスンの受け方についても提案でき、ちゃんとした信頼関係や信用にも繋がると思うので、
今回お伝えした、「五十肩と腱板損傷の見分け方」は是非、活用してみてください!
しっかりとした身体の知識をアウトプットできるインストラクターを目指していきましょう!