『知らないと怖い!腱板断裂』でお伝えしました『腱板断裂』と状態は似ていますが、今回はインストラクターの先生も一度は聞いたことがある『インピンジメント症候群』とその予防についてお伝えしていきたいと思います。

肩を使う動作をよくするようなレッスンではこの『インピンジメント症候群』を引きおこす可能性がとても高くなりますので、皆さんの周りでなっている方もおられるかと思います。
是非、今回の内容でインピンジメントをおこしている方に的確なアドバイスができるようになっていただけたらと思います。
インピンジメントってなに?
インピンジメントは『impinge:衝突・突き当たる』という意味があり、関節を動かした時に関節で衝突がおこる状態を『インピンジメント症候群』と呼びます。

インピンジメントは足首や股関節でもおこり、これが肩関節の肩峰の下でおこった場合を『肩峰下インピンジメント症候群』と呼びます。
今回は肩のインピンジである『肩峰下インピンジメント症候群』について説明していきます。
何が原因でおこるの?
腕を外側から上に上げていった際に、上腕骨と肩峰によって間にある腱板の一部や肩峰下滑液包(けんぽうかかつえきほう)などが挟みこまれた状態です。

腱板断裂でも紹介しましたが、肩峰と腕の骨である上腕骨の間は元々隙間が少なく、間にある肩峰下滑液包や腱板が挟みこまれやすい構造をしています。
腱板の機能が悪くなったり、骨の変形によって繰り返して挟み込みがおこると滑液包に炎症や痛みがおこります。
安静にするとこの変化は正常に戻り症状は治りますが、動作を繰り返しおこなうことで症状が慢性化します。
腱板(けんばん)
棘上筋(きょくじょうきん)、棘下筋(きょくかきん)、小円筋(しょうえんきん)、肩甲下筋(けんこうかきん)の4つの筋の腱から構成されており、腕の骨を肩甲骨に引きよせる働きがあります。
滑液包(かつえきほう)
滑液包とは、滑液が含まれた袋のことです靭帯、筋肉、骨、皮膚、腱などの構造物が互いに擦りあう場所に存在し、お互いの衝撃を吸収するクッションとしてのはたらきや円滑にするはたらきをもっています。
『肩峰下滑液包』とは肩峰の下にある滑液包で、肩を動かす時にスムーズに肩を動かすために働いています。
インピンジメントが起こるとどうなるの?
インピンジがおこると肩を上げていくとき、ある角度で痛みや引っかかりを感じたり、肩を挙げたり下ろしてくるとき、ほぼ60°〜120°の間で特に強い痛みを感じることがあり、これを有痛弧徴候(ペインフルアークサイン)と呼びます。

悪化するとこわばりや筋力低下なども伴い、夜間痛を訴えることもあります。
さらに進行した場合は腱板の損傷や断裂にも繋がります。
インピンジメントの種類
インピンジメント症候群は肩以外の部位でもおこります。
詳しくは違う項目でお話し致しますが、今回は肩以外のインピンジメント症候群の種類をご紹介します。
足関節後方インピンジメント症候群
足関節を底屈(足首を地面側に曲げる)させた時に足首の後ろ側に痛みがおこるのが特徴です。
股関節インピンジメント症候群
階段を上る時など、股関節を動かしたときに股関節の引っかかり感や足の付け根・太ももに痛みがおこるのが特徴です。
膝関節インピンジメント症候群
前方,後方,内側,外側の4つでインピンジされる場所があり、それぞれ痛みがあります。
手関節インピンジメント症候群
尺骨突き上げ症候群・橈骨尺骨インピンジメント症候群・尺骨茎状突起インパクション症候群の3つに分けることができ、手関節のつまり感や痛みがあります。
インピジメントの予防・対策
肩峰下インピンジメントで大切なのは腱板の働きです。
先ほどもお伝えしたように腱板は腕の骨を肩骨に引きよせることで、肩甲骨と腕の骨を正常なポジションに保つ役割を果たしているので、腱板の働きを良くしておくことが、予防や対策になります。
腱板とは4つの筋肉の腱が集まって出来ています。棘下筋・棘上筋・小円筋・肩甲下筋の4つのインナーマッスルを鍛え・ストレッチをすることで腱の働きをよくしてちゃんとしたポジションに保つことが大切です。
一つだけでの筋肉をするのではなく4つの筋肉の腱がバランス良く働くことで腱板の機能が発揮されるので、バランス良くアプローチできるようにしましょう!
『腱板損傷』では腱板のトレーニンについてご紹介したので、
今回は腱板のストレッチをご紹介します!

ローテーターカフのストレッチ
① 肘を曲げ、手の甲を身体の横につけます。
②反対側の手で肘を曲げた側の肩周辺のストレッチ感を意識しながら、痛みの出ない範囲で肘を引きながらストレッチをかけていきます。
*肩が挙がらないように気をつけてください。
まずは『15秒キープを3セット』から始めてくだいさい。
まとめ
今回は『肩峰下インピンジメント症候群』について紹介させていただきましたが、
肩はインピンジしやすい構造になっているという事がわかっていただけたでしょうか?
インピンジしている状態は初めはすぐに症状が治まりますが、対処せずに長期的に放っておくと腱板を損傷してしまったり、石灰化(せっかいか)や他の筋肉を痛めてしまったり様々な疾患を引き起こしてしまいます。
長期化する前に腱板のトレーニングやストレッチをおこない、機能を高めて良いポジションを維持できるようにアプローチできるようにしましょう!