『最近、レッスン中に足がつりそうになるんですよ!』とお客様から言われた事があるインストラクターの方は多いのではないかと思います。
インストラクターも自分自身がこむら返りを経験している方もおられるかと思います。そんな日頃から出くわす機会の多い『こむら返り』ですが、なぜおこるのか?ということを皆さんはどれだけ知っているでしょうか?
今回はそんな『こむら返り』について原因をお伝えしながらその対処法についてもお伝えできればと思います。
こむら返りってなに?
『こむら返り』については一度は耳にしたことがあるかと思います。知っているインストラクターも多いかと思いますが、
『こむら返り』とは筋肉が自分の意識してないところで強い痙攣(けいれん)をおこしてしまっている状態です。
医学的な用語で言うと『有痛性筋痙攣(ゆうつうせいきんけいれん)』と呼びます。
こむら返りは運動中にみられる場合と、その他のときに起こる場合があります。後者では夜におきる場合が多く年齢が上がるにつれて発症の頻度が高くなります。
こむら返りの原因は?
筋肉は神経が興奮する(はたらく)ことで収縮しますが、筋肉や神経が異常に反応してしまっている状態で、自分の意思とは関係なく強い収縮(痙攣)がおこります。
どうして足がつるのか、その原因ははっきりと解明されていませんが、体内の電解質(マグネシウム、カリウム、カルシウムなど)異常やさまざまな病気、妊娠などと関係が深いと考えられています。
まずは、原因の一つである電解質(でんかいしつ)の異常についてみてみましょう!
電解質が原因で起こるこむら返り
電解質とはイオンのことで、水に溶けると電気を通す物質のことです。
主なイオンにはナトリウム・カリウム・マグネシウム・カルシウムなどがあります。
この電解質(イオン)は、筋肉細胞や神経細胞の働きに関わるなど、身体にとって重要な役割を果たしています。
運動や睡眠時の発汗や脱水状態、栄養が不足することでこれら電解質のバランスが乱れ、筋肉や神経のはたらきが異常になりこむら返りがおこります。
対処法
電解質が不足しておこっているためしっかりと電解質が入ったものを補給することが重要です。
特にスポーツドリンクには必要な電解質が含まれているので、寝る前や汗を書いた後などに補給するようにしましょう!
ナトリウムを含む食材・・・
塩・梅干し・味噌・めんたいこ・生ハム
カリウムを含む食材・・・
パセリ・アボカド・納豆・ほうれん草
マグネシウムを含む食材・・・
あさり・干しエビ・なまこ・わかめ
カルシウムを含む食材・・・
チーズ・ひじき・モロヘイヤ・ごま
寝る時に起こるのはなぜ?
こむら返りの多くは寝ている時におこており、年齢を重ねるとその頻度も高くなります。
寝ている時は心拍数が減り、動かさない手足の筋肉の血行は低下していきます。
すると足の温度は低下していき、筋肉や腱のセンサーは低下し、このセンサーが低下が原因でこむら返りがおこると考えられています。
通常、寝ている状態では重力や布団のおもみでつま先が下に向いた状態になります。
つま先が下を向いた状態では、ふくらはぎは収縮している状態ですが、自発的に収縮している訳では無いので、とても小さい収縮力となります。
しかし、センサーの機能に異常がおこるともっとふくらはぎを収縮しなけらばと、勝手に判断してしまいこむら返りがおこります。
水泳中におこるこむら返りもこの状態が原因でおこっていると考えられます。
対処法
足の血流を良くして冷やさないようにすることが大切です。
お風呂にしっかりと入り、入浴後はふくらはぎのストレッチをするようにして、筋肉を使って血流を良くして足を冷まさないようにしておくことが大切です。
また寝る前にスポーツドリンクで電解質を補給しておくようにしてください。
妊娠中のこむら返り
妊娠することでこむら返りがおこる事があります。
妊娠中にこむら返りがおこる原因は様々で以下のことが考えられます。
お腹が大きくなることで足の血流が悪くなる
お腹が大きくなるにつれ、足に繋がる血管を圧迫してしまうことで、足の血行が悪くなり冷えやすい状態になります。
先ほども説明したように冷えることでセンサーが異常になりこむら返りがおこります。
お母さんの栄養不足
赤ちゃんが成長していくためには、お母さんからの栄養分が優先的に赤ちゃんの方に流れていきます。
そのため、その他の栄養分とともに電解質が不足してしまい筋肉や神経が異常に興奮することでこむら返りがおこります。
骨盤のゆるみ
骨盤がゆるむことで足が外側に広がった状態になっていくと、バランスを取ろうとふくらはぎの筋肉を使って内側戻そうと働きます。
そのため、足に負担がかかってしまい、立ち上がり動作などのちょっとした筋肉の収縮でもこむら返りが引き起こされます。
対処法
どうしても栄養が不足しやすいので、しっかりと電解質を意識して補給するようにしましょう。
スポーツドリンクを飲むのも大切ですが、糖質も多く含まれているので食材の栄養から補給していくのも大切です。
特にお腹が大きくなってくると足の負担も大きくなってきます。
足の疲労はこむら返りを引きおこすきっかけになりますので、お風呂上がりのストレッチは欠かさずおこなうようにしましょう!
注意が必要なこむら返りの原因
こむら返りには、病気が原因でおこっている場合もあります。
今回は代表的なものを紹介しますので、十分注意してください!
糖尿病(とうにょうびょう)
糖尿病によって引きおこされる病気に『神経障害(しんけいしょうがい)』というものがあります。
これは糖尿病によって神経を傷つける物質が蓄積されたり、神経に栄養を送る血管が詰まってしまうことで、神経が上手くはたらかなくなっている状態です。
神経が上手くはたらかなくなると、しびれがおこったり、逆に感じにくかったり、神経の異常でこむら返りがおこります。
坐骨神経の障害
『困らないための!坐骨神経痛の原因4選!』でも紹介している。坐骨神経痛を引き起こす疾患である、腰部椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症など坐骨神経を障害している疾患では、神経の伝達が上手いこといかずにしびれやこむら返りがおこります。
閉塞性動脈硬化症(へいそくせいどうみゃくこうかしょう)
動脈硬化(どうみゃくこうか)とは、カラダに送り出す血液が流れる血管である動脈が硬くなることで、動脈が狭くなったり閉じてしまい、血行不良がおきている状態です。
足への血流が悪くなることで、足に栄養や酸素を十分に送ることができなくなるため、しびれやこむら返りなどさまざまな症状が現れます。
放っておくと、壊死(えし):組織が死んでしまうことがありますので、注意してください。
まとめ
今回は『こむら返り』の原因についてお伝えさせていただきました。
初めの方でもお伝えしましたが、こむら返りの原因ははっきりと解明されている訳ではありません。
大切なのは『電解質バランス・血行状態・筋肉の疲労・神経の異常』を確認しておくということです。
こむら返りをおこっている人それぞれで原因は違うと思いますので、この4つの状態をしっかりと把握して、この4つに何か当てはまることがあれば、その原因に対して適切なアドバイスができるようにしてください!