坐骨神経痛(ざこつしんけいつう)とは?
まず、腰から足まで伸びている大きな神経を坐骨神経と呼びます。
この神経になんらかの原因で異常がおこることで、
腰から足の先に『痛み』や『しびれ』がおこっている状態を『坐骨神経痛』と呼びます。
坐骨神経痛はあくまで症状であり、原因となっている病気はさまざまなものがあります。
今回は特にインストラクターの方が出会う機会が多い坐骨神経の原因となる疾患について書いていきたいと思います。
インストラクターの先生は
まずは症状が見られた場合には無理に自分で判断せずに、病院にかかっているか聞いてください。
病院にかかっていない場合は『整形外科』への受診を勧めてあげてください。
病気の原因がわかっている場合はその病気に合わせた対応が必要です。
ヨガや運動によって症状が改善していく場合がありますが、間違った対応をしていまうと、症状が悪化してしまう原因に繋がります。
病気のことを知っていることで、
焦らずに対応できますし、アプローチの仕方も変わってきます。
またクライアントさんに病気のことをアウトプットしてあげると安心感や信頼関係にもより高まると思いますので、まずは病気について覚えておきましょう。
1. 腰椎椎間板ヘルニア(ようついついかんばんへるにあ)
背骨である「脊柱(せきちゅう)」は、「椎骨(ついこつ)」という骨と、椎骨と椎骨が傷つき合わないようにその間でクッションの役割をする「椎間板(ついかんばん)」が交互に積み重なった構造でできています。
椎間板の中にはゼリー状の「髄核(ずいかく)」というものが入っており、椎間板ヘルニアはこの髄核が椎間板の外に押し出されて椎間板の近くの神経を圧迫することでおこります。
椎間板ヘルニアはどこでも起こりますが、腰部の脊椎でおこった場合に「腰部椎間板(ようぶついかんばんヘルニア)」となります。
腰から出る神経は坐骨神経に繋がっているので、腰の神経を圧迫すると坐骨神経に痛みやしびれといった症状がおきます。
上の図のように右に伸びている神経が圧迫されると右側に症状がおこり、左に伸びる神経が圧迫されると右に症状がおこり、真ん中の太い神経が圧迫されると両方に症状がおこります!
腰椎椎間板ヘルニアの原因
腰椎椎間板ヘルニアの多くは
日々の生活の中で椎間板への負担が積み重なり発症します。
長時間の車の運転や中腰での作業、重いものを持つなど、腰に負担のかかりやすい生活を送っている人ほど腰椎の病気を発症しやすいです。
レッスン時のアドバイス
椎間板は縦方向の力には強いですが、曲げやねじりには比較的弱い性質を持っています。
腰を曲げ伸ばしするポーズやねじる動作の多いポーズ、中腰の姿勢になるポーズをおこなうさいには、クライアントさんに大丈夫か確認するようにしましょう。
背筋や腹筋は、背骨への負担を少なくする働きがあります。ヨガなどをする際には、腹筋と背筋の筋力維持・向上をさせるような動きを心がけてください。
2. 腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)
背骨には、脳から続く神経である「脊髄(せきずい)」という神経が通っています。この脊髄を守るような形でトンネルがあり、これを「脊柱管(せきちゅうかん)」と呼びます。
椎骨などの骨の変形や靭帯(じんたい)が厚くなったり、椎間板が飛び出ることで、 脊髄が通る脊柱管が狭くなり、脊髄が圧迫され、腰の痛みや脚のしびれなどの症状を起こすことを「脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)」と呼びます。
その他に特徴的な症状に「間欠性跛行(かんけつせいはこう)」があります。
長時間、歩いたり立っていたりすると坐骨神経痛があらわれるのですが、座って前かがみになって休憩すると症状が軽減するということがおきたり、自転車に乗っていると症状がでないといった状態がおこります。
これは前かがみになるということが重要で前かがみになることで、脊柱管が広くなり圧迫が和らぐことによっておこります。
脊柱管狭窄症の方の特徴的な症状なので覚えておきましょう!
脊柱管狭窄症の原因
脊柱管の後ろにある靭帯は、老化やホルモンのバランスの崩れが原因でもろくなることで厚くなっていきます。
脊柱の椎骨や椎間板は負担が長期的にかかることで変形していきます。
ただし、これらの変化の程度には個人差があり、日常生活の仕方はもちろん、遺伝的な要素も関係しています。
レッスン時のアドバイス
脊柱管狭窄症は背骨を伸ばすことで、脊柱管が狭くなることで症状がおこりやすいです。
腰を反らす様なポーズでは、圧迫が強くなり症状が強くなる場合があるので十分注意が必要です。
症状が強くなる様な場合は、前かがみの(腰を曲げる)姿勢をして休んでもらうと症状が楽になる場合があるので、指示してあげてくだいさい。
ただ、適度な運動は予防のために必要ですので、まずは腰に負担の少ない寝ながらのポーズを行なっていきましょう!
3. 腰椎すべり症(ようついすべりしょう)
脊柱は、椎骨と椎間板が積み重なった構造をしています。
腰の椎骨「腰椎(ようつい)」がなんらかの原因によって前後方向にずれる病気を「腰椎すべり症(ようついすべりしょう)」と呼びます。
無症状の方も多くいる一方、先ほど紹介した脊柱管狭窄症のように脊柱管を通る神経が圧迫されることによって、腰や足の痛みやしびれなどの症状が現れます。
腰椎すべり症の原因
生まれつき腰椎が弱いために起こる人もいますが、明らかな原因は不明です。
ただの大半は腰への長年の負担が主な原因で老化現象の一つと言われています。
中高年の経産婦に多く、女性ホルモンの影響もあると考えられています。
レッスン時のアドバイス
腰椎すべり症も脊柱管狭窄症と同様に背骨を伸ばすことで、脊柱管が狭くなることで症状がおこりやすいです。
腰を反らす様なポーズでは、圧迫が強くなり症状が強くなる場合があるので十分注意が必要です。
適度な運動は予防のために必要ですので、まずは腰に負担の少ない寝ながらのポーズを行なっていきましょう!
4. 梨状筋症候群(りじょうきんしょうこうぐん)
梨状筋(りじょうきん)とは
股関節を外旋(がいせん)=大腿骨(だいたいこつ)を外に回す筋肉です。
梨状筋は下の図の様に「仙骨(せんこつ)」から「大腿骨」へと付着しています。
坐骨神経は、骨盤から出て足へ向かいますが、その際図のように骨盤の出口のところで、梨状筋という筋肉とのトンネルを通ります。
梨状梨症候群(りじょうきんしょうこうぐん)とは
この梨状筋が硬くなったり緊張してしまうことでおこります。
本来なら柔らかいはずの梨状筋が硬くなることで動きが悪くなってしまい、坐骨神経が通っているトンネルのところで坐骨神経を圧迫されてしまうことで、お尻から足にかけてしびれや痛みがおこります。
特に長時間座った時や股関節を内旋させる動作で梨状筋の圧迫が強くなるので、痛みやしびれがおこりやすいです。
梨状筋症候群の原因
日常生活やスポーツなどで繰り返し梨状筋に負担がかかった場合におこりやすく、股関節の異常による場合など原因は様々ですが、はっきりとした原因が思い当たらないことも多くあります。
レッスン時のアドバイス
梨状筋症候群は梨状筋のストレッチが重要です。
梨状筋にストレスがかかることで、筋肉が硬くなり、緊張が高くなっている場合が多くあります。
梨状筋のストレッチを行なうことで硬くなった筋肉を柔らかくしていき、神経の圧迫を軽減することができます。
今回は梨状筋のストレッチを紹介致します。
① 仰向けに横になり片方の膝を三角に立てます
② 立てた膝に反対側の足を引っ掛けるように乗せます
③ 立てた方の足の太ももを手で持って、膝が胸に着く様にゆっくり持ち上げます。
引っ掛けた方のお尻に伸びている感じがあればOKです!
簡単なのでセルフストレッチの仕方としてもアドバイスしてみてください!
まとめ
今回は坐骨神経の原因で特にインストラクターの先生が実践で出くわしやすいもの4つを紹介しました。
しっかりその病気がどの状態で起こっているものかを理解しておくことで、アドバイスの質も変わってきます。
一つ上の質の高いインストラクターとなるために、この4つだけでもしっかり理解して実践に出た時はいっぱいアウトプットしてください!!